2010年02月10日

「なぜ水俣病が解決できないか」

嫌いな漢字が一つある。それは「怨」である。

1970(S45)年。小学生になったばかりの私は、家族共々熊本に引っ越してきた。(それまでは山梨半年→東京4年半→大阪半年)

テレビをつければ民放が2つ(RKK、TKU)しかなく、母親は毎日ぶつくさ云っていた。
けれど悪ガキ榎田少年は「ひとまとめにテレビ漫画(当時はアニメとは云わない)や特撮が見られて便利じゃん」なんて軽口を吐きつつ、瞬く間に熊本子どもに同化するのである。
只、馴染まないものがあった。それは「ローカルニュース」だった。

当時我が家はまだ白黒テレビであった。
それに映し出されるローカルニュースはいつも極めて陰鬱だった。
大人達が罵声を飛ばしあい、老婆が泣き、身体が折れ曲がった子どもがうつろな目で天を見上げていた。
決まってその一団の中に「怨」と記された黒旗があった。
それは『仮面の忍者赤影』の卍党よりも、『妖術武芸帳』の毘沙道人よりもおどろおどろしく感じられ、否、恐ろしさよりも「見たくないもの」として子ども心に刷り込まれていったように思う。

それが私と水俣病の出会いである。

以来、水俣病がチッソという会社が垂れ流した廃液によって生じた公害病であるくらいのことは学んだものの、それが如何なる人為によって長期化しているか等々には、無意識というよりむしろ意識的に耳目を塞いでいたように思う。
そして勝手な妄想や周囲の流言を適当に取り込み、水俣という土地、水俣に住む人に対する極めていい加減な偏見や緩慢な差別意識を持ったまま、私は大人になってしまった。

二十歳を過ぎた頃、酒席で水俣病についていい加減な主観を述べた。同席した某新聞記者が鼻で笑いつつ「もうちょい勉強してからモノを云え」と云う。
馬鹿にされて憤慨する若さを持っていたその頃の榎田は、それ以降テレビで流れる水俣関連のルポやドキュメント、ニュースの類を片っ端から見てやろうと決心し、その通り実行した。
結果「さっぱりわからん」
点と点を正確に線引きし、面と面の交差を立体的に構築していけば、そのディティールは掴めるだろう。
しかし、それはむしろメディアの仕事であって、単なるイチ視聴者であり研究家でも何でもない私にとって水俣病はハードルの高い社会問題。

「もっと分かるように説明してくれーー!」

そして時が流れた。

今、精読したばかりの本がある。
『なぜ水俣病は解決できないのか』東島大・著(弦書房)
先月30日に発行されたばかりの新刊。

難解な推理小説を途中で投げ出した私に対する至福の解説書がまさに本書であった。

私を水俣アレルギーにするきっかけを作った「怨」の黒旗は、石牟礼道子の発案であることを知った。
そして当事者達の実名による肉声が水俣病の実像をストレートに映し出す。
私は初めて水俣病の闇を見たのかもしれない。正直動揺している。
ぜひ多くの人々に読んで欲しい一冊だ。


著者・東島大(ひがしじま・だい)氏は、現役NHK記者である。
時々FMCの番組に登場する酒好き女好きのH3(えっちさん)と同一人物という噂があるが、定かではない‥笑。




《追記》巻末に、著者に取材のイロハを教示した師として熊日記者古田氏(故人)の名がある。実は、彼こそ日本で初めてFMCをメディアで報じた記者なんだなぁ。
posted by 榎田信衛門 at 08:29| Comment(0) | 008雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年02月04日

エフエム多摩、3月で閉局。

(報道)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyotama/news/20100203-OYT8T01296.htm

(エフエム多摩オフィシャルサイト)
http://www.fmtama.co.jp/

また一つお亡くなりになるそうです。首都圏では初!
そう云えばここを立ち上げたスタッフさんと函館で名刺交換したっけ。

放送エリアを見れば、結構な商圏じゃないの。
どんな経営やっとったんだろね。

広告料金を見れば、よくある似非マスコミ価格。
スタジオ写真を見れば、よくある似非マスコミ機材。

「はい。ひと目見て《だめだこりゃ》‥であります」

小規模放送の難しさを知らず、
小さきものだと舐めてかかった経営陣の体質がよく分かる。

でも、もっともっと潰れるだろうなぁ。
似たような経営感覚のところが大多数だから。
posted by 榎田信衛門 at 14:33| Comment(0) | 004こんな会社もありますね | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

リアリズムと防衛を学ぶ

愛読させて頂いているブログ
「リアリズムと防衛を学ぶ」をご紹介致します。
非常に示唆に富む内容です。

タイトル下の言葉‥
「好き嫌いは別として、現実に目を瞑っては、決して良い世界はできない」
軍事評論家・故江畑謙介氏の言葉だそうです。

連載が始まったばかりの「阪神・淡路大震災と自衛隊」‥読ませます!

興味がある方は是非ご一読を。

http://d.hatena.ne.jp/zyesuta/
posted by 榎田信衛門 at 00:41| Comment(0) | 008雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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