2010年08月12日

1985年8月12日

10月に開局を控えたエフエム中九州(現・FM熊本)で、一足早くサービス放送の段階でスタートすることになっていた若者向けローカル番組初号『WA!アメーバだ』の企画準備に奔走中のFMC(当時join)‥。
その日の打合せを終えて皆が三々五々帰宅する中、スタジオに居残っていたのが私と深江公一(MN:エレクト深江)であった。
「晩飯どうしよう?」なんて雑談しながら気がつけば19時を回り、ぼんやりと『NHKニュース』を眺めていた。

19時26分。アナウンサーが「日航機消息不明」を短く伝えた。

既にワイドショーのカメラマンとしての経験を積んでいた私は、その第一報の重さを衝撃を持って感じたのを記憶している。
「深江さん、大変なことになるぜ。全局蜂の巣を突付いたような大騒ぎになる!」そう云ってテレビのザッピングをし始めた。
後日談だが、この時のザッピングの煩わしさが教訓となって、全局一度に見られる数のテレビがFMCスタジオに配備される。
尚、この頃の熊本にはTBS系のRKK(ANBクロスネット)、CX系のTKU(ANBクロスネット)、AX系のKKTがあり、TX系は無い。そしてNHKという状況。

TKUでは『月曜ドラマランド』が始まった。富田靖子主演の一休さんである。
実は私と深江は富田靖子のファン(しかもQRの富田靖子の番組で私は放送作家デビューしていた)で、この番組を一緒に観ようということでスタジオに居残っていたのである。
直後、ニュース速報(テロップ)が出た。まさに「CXキター!」である。
その後、未曾有の大事故ということで各局特別報道体制となっていく。
おそらく阪神淡路大震災まで《最大規模の報道体制》ではなかったろうか‥。

私がCX関係者(関連会社の契約社員だった)ということもあり、CXを中心にテレビを注視し続けた。
今のようにインターネットが無い時代である。テレビが唯一の速報型情報源だった。

CXでは、当時《CXの天皇》とまで云われた露木茂アナウンサーが、錯綜する情報を冷静に捌いていく。
深江が「幸田シャーミン要らんぜ」とか云ったのを記憶している。

しばらくして乗客名簿が発表になる。
その中に当時懇意にしていた熊日文化部記者のM氏と同姓同名の名前があった。
「榎田さん、Mさんですよ!Mさん今東京ですよね」‥深江の顔がみるみる青くなっていく。
「確かに東京出張だけど‥。いやぁ大阪には行かんやろ〜」
「あの人なら分かりませんよ」
そんなやりとりがあって、私は熊日に電話した。
電話に出た文化部の同僚記者は困惑気味に‥
「実はこっちでも心配していて。でも全く連絡がとれないんだよ。ホテルもポケベルもダメ。まさかとは思うが、彼なら思いつきで大阪に向うこともゼロじゃない‥」
「ありゃりゃ〜」
ここでFMC主要スタッフに「日航機にM記者が乗っている可能性アリ」という速報が電話で回される。
数名のスタッフが一体何事!?という表情でスタジオに戻ってきた。

それからは、大事故・大災害が発生すると恒例行事として行われる榎田ニュース生解説である。
「おかしい!後部の圧力隔壁が簡単に破断することはない」とか‥
「自衛隊の偵察能力をわざと低めて報じている」など、かなり的を射た指摘をしたことを記憶している。
※今はUSTREAMとかありますけんね。そういう時は「榎田ニュース生解説」ご覧にいれます。

結局終夜報道を凝視し続け、一睡もせずに翌日のお昼過ぎ『笑っていいとも!』開始直後に切り替わった速報番組にて生存者救出の超一級生映像が映し出されるのをブラウン管を通して目撃した。
後日、この時のクルーの諸先輩方から凄惨な現場の状況や苦労談をお聞きする機会があり、テレビの持つ力を勉強させて頂いた。

それからは「涙・涙・涙」の過剰演出が鼻に突く。
テレビの悪所がこれでもか!と発揮されていく。

ちなみに私が担当していた『3時のあなた』でも「涙・涙・涙」である。
司会の寺島純子が号泣し、全農の生CMで担当の女性が号泣。
いつしか、事故と云うか事件の深層を掘り下げるのではなく、人生を断たれた被害者と家族の悲しさばかりをひけらかす報道に偏向していくのである。

その後、いくつかの深層暴露系の本が出版されたが、そこで指摘される疑問や疑惑に正面から解答したものは未だ存在しない。
それ以前に「圧力隔壁が簡単に破断することはない」は私の定型句にまでなっている。

きっとタブーなんだな。テレビの限界がここにあったのかな。
答えが出る日はいつだろう。

M記者は新宿かどこかで飲み歩いていて乗客名簿のそれとは別人であることが判明する。後で大目玉喰らったらしい。
posted by 榎田信衛門 at 10:38| Comment(0) | 008雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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