2006年07月20日

手遅れな会社

松下電器という先例があり、
直近にはシンドラーという教訓があったにも関わらず、
あらら今度は「パロマ」というトンマな企業が登場。

聞けばパロマってのは典型的な同族経営企業とのことで、謝罪していた息子殿(社長)はやや御髪に危機感を漂わせておるが‥笑、まぁ舵取りは稚拙だったと言わざるを得んでしょ。

パロマは置いてといて‥。
※リンナイはウハウハかもなぁ‥笑。

数年前、私の友人Aがヘッドハントされましてね、ある同族企業の新たなプロジェクトのリーダーに納まりました。
二代目ボンボンのやや低脳ぎみ社長(長男)と、かなりの切れ者専務(次男)という二極による『柳生一族の陰謀』を題材にしたような派閥争い満載の会社。
外患は無視して内憂ばかりに気を奪われていた典型的なダメ会社だったそうです。
そこに外からの血を入れて社風の刷新を図ろうと専務が引き抜いて来たのが友人Aでござんす。

元々の事業は社長一派に任せてといて、切れ者専務は、これまで築いた販路と会社の信用を活かして、新事業を展開しようと画策したわけです。パイオニアスピリッツの表れでござんしょ。
友人Aはそりゃあ張り切っておりましたよ。
でも凡そ1年で彼のエネルギーは枯渇してしまいました。

プロジェクトを立ち上げる以前の問題で、古参社員の意識改革にエネルギーを大量消費しちゃったとのことでした。
彼等は社長一派の顔色を窺って全く動こうとしない。若手社員にしても最初からモチベーションが低い。
他社の先進的な実態を見せたり、企業改革のスペシャリストに指導してもらったり、そんなことに予算とエネルギーが消えて行ったそうです。
「いろいろやってみたけど、効かない‥」
ちなみに友人Aは、気鋭のクリエーターですが、私以上にコーチングだのプロジェクトマネジメントだのの達人であります。彼がやってダメだと言うのならそれは『手遅れ』だと断ぜざるを得ません。
※どんな抗ガン剤も効かぬ末期ガンにも似た会社ってありますよ。

いろいろ話を聞いて、私なりに問題点を指摘してみました。
「そりゃ専務が一番悪い」
友人Aはちょっと驚いたようで、専務を弁護します。彼は専務のパイオニアスピリッツに惚れていたのでしょう。

同族経営は、言い換えれば独裁または独裁に近似した集権体制を意味します。優れた指導者がいれば見事に発展しますし、そうでなければ確実に埋没していく。社員達はひたすら従順であれば良い。
はっきり言いますが、今や同族経営企業が大発展をするなんてことはまさに奇跡的な出来事であって、一族の中に突然変異が登場し、その人物に対するカリスマ的尊崇意識を一族郎党が集団催眠的に抱いてしまった時にだけ訪れるビッグチャンスと言っても過言ではありません。

専務殿は、突然変異だったのでしょう。いろんな経営者の立志伝を聞いて夢を見てしまったのかもしれない。しかし、カリスマではなかったようです。一族郎党の意識を統一できなかった。そこで出城を築くことによって彼の威勢を見せつけようと画策したわけですね。
しかし友人Aは、言わばアスリートを育てるトレーナーが専門であって、病人を快復させる医師ではないわけです。
この会社にはまず医者が必要だった。とっくに手遅れですけんど‥笑。

「最初から別の会社として創業すれば良かったのだよ。専務殿は《家》という逃げ込む場を捨てられなかったのだ。」
あーあまた余計なこと言っちゃったかな‥友人Aはその3ヶ月後に退社しました。当然プロジェクトは消滅。

ちなみに私も何社かこういう企業で講演したり、スーパーバイジングしてますが、難しいですね。
トップダウンからボトムアップに変革するのって物凄く大変ですから。
posted by 榎田信衛門 at 11:10| Comment(8) | TrackBack(0) | 004こんな会社もありますね | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月09日

終身雇用

終身雇用というシステム自体は概ね宜しいのではないか‥と私はね、評価しておるのですよ。
そんな話。

随分前の話です。ある民放老舗局で見た光景‥。
制作部フロアに『部長待遇』というのがゴロゴロしております。
当然『部長』はその部に1人しかいないわけですが、同年代とか同期というおっさんおばさんを《ヒラ》にしておくわけにもいかず、年功序列の給与体系のお陰で、皆様『部長待遇』なわけですね。
さすがは民放老舗局であります。皆様年収1000万円を軽く超える方々。鉄道移動はもちろんグリーン車。飛行機はスーパーシートです。
表向きエグゼクティブなのであります。
でもこの方々‥異常に『暇』です。
朝から新聞、雑誌を読み漁り、その後はプロモーターからタダで貰ったCD聞いて寝てます。時たま担当外の番組スタッフにどうでもいい文句を垂れたりします。
昼飯時はタクシーチケット使ってどこかの高級ランチ。帰りも当然チケット利用。
現場から離れて幾年月。担当する役目があるわけでなく、一応○○委員とか肩書きはついていますが、屁の突っ張りにもなりません。

景気が良かった時は、こんな捨扶持飼育もどうってことはなかったんでしょうが、バブルがはじけてさあ大変。
見事に会社は赤字転落でありました。
そして、最初に削られたのは「番組制作費」でありました。
フロア全体の雰囲気が暗くなっていくのがよくわかります。

私思いましたよ。
「名前だけ管理職の使えん連中を全員首にしたらすっきりするやろーなー」
ところが最初に首を切られたのは、バイトのAD達でした。制作費圧縮のためです。
売り物のクオリティを下げて、ゴミに贅沢させるという寸法。
「だめだこりゃ」

大手マスコミにこの図式をひっくり返す自浄能力があるか?
わたしゃアウトサイダーですけんね。それは知りません。期待もしません。
ただ、反面教師として学ぶべきところは沢山ある。
※このケースは、ある程度大きな会社での話。新興勢力や規模の小さい会社には当てはまらないかもしれません。それと、この話に出てくる捨扶持連中は既に全員定年済なので現状は変わってると思います。


40歳代前半あたりをピークとして山型の給与体系を作ってみたら?
現場で活躍する年代に重きをおき、現場から離れる年代はそれなりに所得を下げていく。動きが鈍くなりますからね。
その代わり「あなたが働きたければ、70歳くらいまで働いてもらいますよ」というこれからの高齢化社会を見据えた終身雇用をむしろこれからのベンチャーは打ち上げんといかんぜ〜!
な〜んて思ってしまうのです。
posted by 榎田信衛門 at 22:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 004こんな会社もありますね | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月05日

守秘義務

弁護士とか医師に《守秘義務》があることは割りと知られたことですが、
実は「コンセプター」にもあるんですよ守秘義務が。

コンセプターというのは、例えば大きなところで言うと「シンクタンク」・・
最近は「リサーチ・インスティテュート」とか「アジェンダ・セッター」と言うのですが、
とりわけ小規模の場合「コンセプチュアル・インスティテュート」という調査研究組織での方針決定権を持つチーフプランナーのことを言います。
※広告会社などで単なるプランナーを意味する場合もあります。

仕事内容は多岐に渡り、それこそ所属する組織によって千差万別です。
大企業の命運に関わるようなメガプロジェクトに関わる超エリートコンセプター(概ね学者ですよこの人達は)も居れば、殆ど町医者モードで、商店街の活性化などに辣腕を振るう庶民派コンセプターもいます。
総じてコンセプターというものは、どこかのクライアントが組織の硬直化などによって新企画を打ち出せずに行き詰ったりしているときに、トップの決断によって駆けつける《助っ人》です。
※企業活性化の毒薬(少量なら妙薬)とも言えますね。

私がかつてコンセプターだった頃(当時日本では5人しか名乗っていなかった)、所属していたエージェント(コンセプチュアル・インスティテュート)がクライアントと契約する際の方針として次のような事柄がありました。
「クライアントの社内に独立した企画チームを編成し派遣したコンセプターが指揮権を掌握する。コンセプターは社内の全情報に関して包括的なアクセス権を持つ」というもの。
クライアントがこれを許すには相当な覚悟が要ります。なんたって知られたくないことまで知られる可能性があるわけですからね。
で、その引き換えに要求されるのは《徹底した情報監理と守秘義務》です。
これはどのシンクタンクにも言えることですが、守秘義務は絶対なんですね。

そんなわけで、私がコンセプターとして参加した複数のプロジェクトについて、私は墓場までその情報を守り続けなければなりません。
うちのオヤジみたいに「墓場まで持っていくんだぁははは・・」とか言いながら、
「実は、カンチャーズ島でソ連軍が攻めてくるきっかけを作ったのは俺のうっかりで・・」とか
「実は、勤めていた学校の校舎が全焼した火事は俺のうっかりで・・」などペラペラ喋るわけにはいかんのですよ皆さん・・笑。

もちろん業績として高らかに謳って良い案件もいろいろあるでしょう。
最初から公開されたプロジェクトとかコンペとかね。
でもね。実際重要なのは、クライアントが必死で依頼して来る極秘プロジェクトでござんして、これがうまくいって業績が好転してくれた時には無上の喜びが味わえるんだな。
けれどそれは実績として謳えない。
厳しい守秘義務の世界なのですよ。

▼参考リンク「ウェブラジオFMC大事典」
posted by 榎田信衛門 at 00:07| 004こんな会社もありますね | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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